Blog
2023/07/22 12:00
画面の前の皆様、アクセスくださいましてありがとうございます。
t.n.A.f.t.ブログ担当スタッフの“あめでお”に変わりまして
今回のブログは、デザイナー大谷が担当いたします。
*スタッフブログ「Pretty Vacant」閉鎖に伴い、こちらへ記事の引越し中です。
で、今回のブログはタイトル通り「なぜ、アナーキーシャツを作り始めたのか」について書いてみたいと思います。
突如
2017年、冴えない上半期を過ごしながら、6月のある時ふと「アナーキーシャツ」のことが頭に浮かびました。「アナーキーシャツを作ってみようかな?」「アナーキーシャツって作れるのかな?」突然、湧いてきた思い。それは、もしかしたら、その少し前に中西俊夫さんの闘病写真を見たからなのかも知れません。それまで、「洋服を作るなんて無理」と決めつけていました。洋服を作る知識も技術もないし、「全部自分でやるハンドメイド」の領域を出てしまうと思っていたからです。
自分で勝手に作ったルールに縛られて
多分それは、それまで「レザークラフト」をひとりでコツコツと一生懸命やっていたからだろうと思います。パターンを起こすこと、それを用いて革を断裁し、縫製〜仕上げと、一から十まで全部自分でやらなければならないというルーティンをずっとやっていたので、それを洋服の制作に当てはめることは不可能、そっち領域には行けないと、自分で作ったルールのようなものに縛られていたんだろうと思います(笑)
でも、調べてみれば、ヴィヴィアンとマルコムも「アナーキーシャツ」をハンドメイドで作っており(ほとんどの部分をハンドメイドでしか作れない)、当時ごく少量しか作らなかったということがわかりました。
さらに調べてみれば、ベースにしたシャツもデッドストックを使ったこともわかりました。さらにさらに調べてみると、ウェンブレックスのビジネスシャツを使用していたことがわかるのでした。
このシャツが作れるかどうかがネックになっていたのです。
だけど、そのベースシャツが既製品で制作できるならば・・・
ならば、ボクにも作れるはず!と、制作を始めました。
最初に何をすればいいのか
ベースとなるシャツを手に入れることよりも、ボクがまずやったことは「ステンシルシート」を制作することでした。あの時はまだ知識も浅く、ネットに転がっていた ”それっぽい” 「ONLY ANARCHISTS ARE PRETTY」をパソコンでトレースし、デザインカッターでステンシルシートを切り抜きました。
曲線を切り抜くことに苦戦しながらもステンシルシートが完成。完成すると、すぐに試したくなるのがボクの性分なので、手持ちの白いシャツにアクリル絵の具でステンシルを試してみました。
今から思えば出来はさほどなものだったのですが、当時はその作業工程にワクワクしましたし、既製品のシャツに対して、初めてとなるステンシルという行為がセンセーショナルでした。
パッチ類はどうしたものか
ステンシルを施せば、やはりスローガンパッチや馬克思パッチも縫い付けて、アナーキーシャツとしての完成が見たくなるもの。やっぱり、あの頃は知識が浅く、スローガンパッチの組み合わせであるとか、馬克思パッチの何たるかがわかっておらず、めちゃくちゃ自由にと言いますか、超我流に処女作のアナーキーシャツを作り進めて行きました。
当然の流れで、オークションサイトなどでプリントされた安価な馬克思パッチを入手したのでありました。
あの時は、それが100%でしたので、その自惚れみたいなことがオンラインストアのブログに記してありました。今読み返せば恥ずかしい内容ですが消去することなく残っています(笑)
求めるのは完成度
試作を経て、2着のアナーキーシャツを作り、それをオークションサイトで販売したところ、瞬く間に売れました。それに気をよくしたボクは、そこから怒涛の如くアナーキーシャツの制作を始めるのです。ユーズドの既製品シャツや新品の既製品シャツなどを使い、アナーキーシャツへとリメイクしていくのです。作るたびに修正し、微調整し、色んな作家さんのアナーキーシャツを見て学び、欲しい技術は必死に練習を重ねました。
60着を超えたあたりで、「やはり、ベースシャツも作りたい」という願望が芽生えてきました。
ネットの画像、印刷物の写真と様々なものからウェンブレックス シャツの寸法を割り出し、t.n.A.f.t. 独自のパターンを制作したのです。と、簡単に書いていますが素人のボクには超がつくほどの難関でした。
それが現在、t.n.A.f.t.のアナーキーシャツになっております。
結論
生地の問題、縫製の問題、モチベーションの問題と、まだまだストーリーはありますが、結論としてなぜボクがアナーキーシャツを作り始めたのか。
それは簡単に言うと、初めて他者に認められた制作物で、それを通して得られた「自己肯定感」のようなものを感じたからでしょうか。現在に至っては、UKやフランスなどの方々から「芸術作品」とまで言ってもらえるようになりました。
なので、ボクがアナーキーシャツを作り始めた理由、それは何にも変え難い「ドーパミン」を知ってしまったからでしょうか。