2025/10/01 15:32

アナーキーシャツを手にした人なら、どこかで目にしたことがあるかもしれません。
PRENEZ VOS DESIRS POUR LA REALITE」――フランス語で書かれたこのスローガン。

直訳すると「君たちの欲望を現実とせよ」あるいは「願望を現実と取り違えよ」
この言葉は1968年、パリの五月革命のときに街の壁に書かれた有名なグラフィティのひとつです。
そして、シチュエーショニストと呼ばれる思想家たちの影響を色濃く受けたスローガンでもあります。





単なる理想論ではなく、行動への呼びかけ

このフレーズは、甘い夢を語るだけの理想論ではありません。
「不可能だ」と押し込められていた欲望や想像力を、抑圧から解き放ち、それを即座に現実の行動に変えていこう――そんなラディカルなメッセージが込められています。

シチュエーショニストたちは、当時の社会を「スペクタクル(見世物)」と呼びました。
人々は管理され、消費させられる存在でしかなく、主体的に生きていない、と。

その退屈で支配的な現実に抗うためには、想像力の解放こそが武器になる。
「欲望をそのまま現実として生きろ」――この言葉は、社会変革のための挑発であり、行動への呼び水でもあったのです。




どこかで聞いたことのあるニュアンス

個人的に興味深かったのは、この言葉が少し「引き寄せの法則」にも似ていると感じたこと。
願うのではなく「すでにそうなっている」とイメージすることが大切だ、と言われるあの考え方。

もちろん、背景はまったく違います。
でも「現実を変える力は、想像や欲望から始まる」という点では、不思議な共通点があります。




パンクのスローガンとして

アナーキーシャツにおいて、このスローガンは単なる装飾ではありません。
それは「秩序への挑戦」と「自由な意思の尊重」という精神を、視覚的に刻み込むものです。

1968年の街頭に描かれた叫びは、今も布にパッチされ、着る人の身体を通して現代に生き続けています。
PRENEZ VOS DESIRS POUR LA REALITE」――この言葉こそ、アナーキーシャツの精神を象徴する、最重要のフレーズのひとつなのです。