2025/07/17 13:46
── 創始者に敬意と感謝を込めて
アナーキーシャツの起源をたどれば、
それはヴィヴィアン・ウエストウッドとマルコム・マクラーレン、そしてジョーダン ──
彼らが70年代のロンドンで作り上げたもの。
ボクが惚れ込んだのは、そのファッションが単なる衣服じゃなかったから。
あれはもう、“思想の芸術”だ。
だから t.n.A.f.t.は今も、勝手にその物語を継承している。
配置すらも「語り」だった
スローガンパッチ、馬克思の肖像、イーグルの図案、ステンシルの文言 ──
それらひとつひとつが、ただの装飾ではない。
そこにどんな意味を込めるか。そしてどこに、どう配置するか。
そのすべてが、ヴィヴィアンたちの“声明”だった。
だから t.n.A.f.t.は、それらを変えずに、踏襲することに意味があると思ってます。
勝手にアレンジしてしまえば、伝わらなくなる。
オリジナルが用意してくれた構造を、そのまま活かすこと。
それが、ボクなりのリスペクトです。
t.n.A.f.t.の色が出るところ
じゃあボクは、ただ真似してるだけなのか?というと、
そうじゃない。そこに“自分の手でしか出せない何か”を重ねていく。
たとえば、ブリーチラインの描き方。
どれぐらいの力で、どれくらいの速さで引くのか。
ペイントの乗せ方。
滲ませるのか、置くのか、叫ぶように飛ばすのか。
そして、ベースシャツの設計。
元になっているのは、ヴィンテージのwemblex。
そのバランスや襟の感じを、自分なりに模倣して再構築しています。
ボクにとっての制作とは、
「受け継ぐ」と「作り変える」のあいだを手探りで行き来することなんです。
誰に届けたいのか?
ありがたいことに、共感してくれるのは
国内外のコレクター、40〜50代前後の方が多いようです。
でも、t.n.A.f.t.が本当に届けたいのは、“響いた人”。年齢や性別は関係ない。
入り口は、「なんか、いい」とか、「意味わかんないけど惹かれる」でも構わない。
その人のどこかに“何か”を引っかけたい。
それが、t.n.A.f.t.のアナーキーシャツにできることだと思ってます。
最後に
いま、アナーキーという言葉は、
表面的なパンキッシュとして消費されがちだけど、
本当のアナーキーって、「自分の意志で選ぶこと」なんだと思う。
何を着るか。何を信じるか。どこに向かうか。
それを“誰か”じゃなく、“自分”で決める強さ。
ボク、t.n.A.f.t.が作っているアナーキーシャツは、
そういう意志をまとえる一着でありたい。