2025/06/02 09:47

2025年5月26日、anarchy shirt 152 が完成し、無事UKの依頼主さまの元へ発送されました。
ベースはかつて制作した071。そこに「自由に作ってほしい」と言っていただけたことが、今回の制作をとても豊かで意味深いものにしてくれました。

この言葉をもらうと、変なプレッシャーが外れるんです。期待に応えようと力むのではなく、ただまっすぐに、自分の感覚を信じて作れる。
結果として、「これは手放すのが惜しいな」と感じる一着に仕上がりました。




制作工程はかなり手間がかかるものです。
まずはグレーに染め、その上にブリーチでラインを描きます。そこからさらにブルーで後染めし、もう一度ブリーチでラインを重ねていく。レイヤーを意識しながら、色と痕跡を積み重ねていくような作業です。

依頼主さまのキーワードは「インディゴ」。
そこから導き出したのはネイビーでした。
青のペイント、青のステンシル、そして青に染めたスローガンパッチ。
すべてがバランスよく響き合うよう、調色にも神経を注ぎました。


スローガンパッチは、グレーの生地にプリントした後、ネイビーで後染め。
馬克思パッチも襟章も青で統一。
襟章のスワスティカはあえてカットして、静かな意思を込めました。

付属のアームバンドも、もちろん一点ずつのハンドメイド。
グレーの生地に「CHAOS」と手描きし、それを青に染め上げるという工程を経ています。
セッズのように粗くラフに作ってもよかったかもしれません。でも、ボクの性格上、それはできない。
結局、どこまでも丁寧に、どこまでも納得いくまで作ってしまうのが t.n.A.f.t. というブランドです。



「there is no accounting for tastes.」
趣味は人それぞれ。
だけど、その「それぞれ」に寄り添える服を作りたい。
そして、そんな服を通じて、自分の信じる感覚と誠実さを届けたい。

anarchy shirt 152、遠くUKへ。
いつか、どこかでまた出会えるかもしれない。
そんな気がする一着です。