2025/02/27 12:35
この146は、フランス在住のコミックアーティスト ルーファス・デイグロ(Rufus Dayglo)氏のご依頼により制作しました。
光栄なことにt.n.A.f.t.のアナーキーシャツを絶賛してくださっています。
2024年11月のある日、ルーファス・デイグロ氏から画像付きでDMが届きました。
その画像とは、PEEL&LIFT製のアナーキーシャツの画像です。よく見ると、藤原ヒロシ氏所有のアナーキーシャツをモチーフに制作したものだとわかりました。
その画像とは、PEEL&LIFT製のアナーキーシャツの画像です。よく見ると、藤原ヒロシ氏所有のアナーキーシャツをモチーフに制作したものだとわかりました。


「CHAOS」のアームバンドも二つ制作してほしいとのことでしたので、縫製スタッフの体調不良もあり、先にアームバンドを制作しました。
このアームバンドについても、いつか書き記しておこうと思いますが、今回はアナーキーシャツのことだけを。
時間稼ぎ的にアームバンドの制作と、体調不良でゆっくりとしか制作できない縫製スタッフの仕上がり待ちを利用して(笑)、このシャツをどのようにして制作しようかと考えました。
ボクを悩ませたのは「ブリーチラインの色」でした。
PEEL&LIFT製のアナーキーシャツの方は画像検索して、別の画像を見ても黒地であることがわかります。藤原ヒロシ氏所有のアナーキーシャツも黒っぽく見えます。黒い生地に対して、ブリーチを施すとオレンジっぽい褐色に変色します。なのに、どちらも褐色変化が見られません。どうやったの??
PEEL&LIFT製のアナーキーシャツの方は画像検索して、別の画像を見ても黒地であることがわかります。藤原ヒロシ氏所有のアナーキーシャツも黒っぽく見えます。黒い生地に対して、ブリーチを施すとオレンジっぽい褐色に変色します。なのに、どちらも褐色変化が見られません。どうやったの??
ブリーチ以外の脱色剤を使っているのか、思いもよらない作り方なのか…
考えても、調べてもわかりませんでしたので、いつものように「やりながら答えを探す」ことにしました。ボクの良いところでも悪いところでもあるのですが(笑)
まず、ステンシル部分「PRETTY」の「P」「R」「E」がブリーチで強調されているかのような表現になっていますので、位置を明確にするためにステンシルから始めます。とはいえ、黒地にブルーのステンシルを施しても全く見えません。なので、その前に全体を脱色する必要がありました。

使用したのは還元系漂白剤の「ハイドロ」。塩素系では茶褐色になってしまうからです。40度ぐらいの「ハイドロ」の溶液に15分ほど浸しました。
しっかりと濯いで、乾かしたらステンシルです。これぐらいでは、まだまだ「黒」ですがブルーのステンシルは認識できます。

ステンシルができたら、問題のブリーチです。いつものように集中しながらラインを描いていきます。
やはり、オレンジっぽい褐色が浮かび上がります。予想通りです。しかしこの時は「ハイドロ」に浸すことで、このオレンジ褐色が抜けるのでは?と期待していました。
やはり、オレンジっぽい褐色が浮かび上がります。予想通りです。しかしこの時は「ハイドロ」に浸すことで、このオレンジ褐色が抜けるのでは?と期待していました。

一通り、ブリーチラインを描けたので、もう一度「ハイドロ」に浸します。前回同様の40度ぐらいで15分ほどです。
が、あまり変化が見られなかったので、次は50度ぐらいで10分ほど浸してみました。するとどうでしょう、染料にしても脱色や抜染にしても温度は極めて重要ということがよく分かります。
が、あまり変化が見られなかったので、次は50度ぐらいで10分ほど浸してみました。するとどうでしょう、染料にしても脱色や抜染にしても温度は極めて重要ということがよく分かります。

全体的に薄く、もはや青いシャツをベースにしたかのようです。透明な液体の中で作業をすると生地の色が濃く見えます。乾燥させないとそのものの色が確認できないので非常に難しいのです。
思ったような結果が得られなかったボクはこの状態を「失敗」と判断してしまいました(結果的に全然失敗ではなかったのですが)。
ルーファス・デイグロ氏にも状況を説明したところ「あなたの技術不足では全くありませんよ!このような作業はとても難しく、完全に試行錯誤だと思います。もしかすると、シャツを薄い茶色の染料に浸けて、白い部分をもっと茶色っぽくすることは可能でしょうか?」という励ましとアイデアをいただきました。
もう一度、資料を眺めます。じっくりと。
藤原ヒロシ氏所有のシャツのブリーチラインをよく見るとグレーであることがわかります。ここで一つの仮説が生まれました。
藤原ヒロシ氏所有のシャツのブリーチラインをよく見るとグレーであることがわかります。ここで一つの仮説が生まれました。
「なるほど、元々グレーのシャツをブリーチした後、さらにグレーでオーバーダイしたのか」という。
ならば、この全体に薄くなってしまったシャツをグレーで染めれば、グッと良くなるはずです。

染料を調整して、後染めした結果、想像の上をいく良い色に仕上がりました。
この最高の結果を得られたのは、ルーファス・デイグロ氏のヒントから、資料の見方が変化した結果なのだと思います。
完璧に仕上げるため、ペイントもスローガンパッチの手描き文字も慎重に。
藤原ヒロシ氏所有のシャツには蛍光色が使われていると思われますが、塗料の落ち方から察するに油性?顔良系?なのかもしれません。

さらに気がついたことは、白いシャツをグレーに染めてからブリーチラインを描き、その後、調整したグレーでオーバーダイすれば、藤原ヒロシ氏所有のシャツの雰囲気にかなり近づくだろうし、今回のような苦労もなかったかもしれないのではないかということです。この視点で資料を見返してみると、縫製糸が白く見えますし、ボタンも白です。多分、ベースのシャツは白だったのでしょう。ただ、PEEL&LIFT製の方は、いまだ全くわかりません(笑) どんな方法で色を抜いているのでしょう?
まだまだ発見があって、アナーキーシャツ作りは面白いですね。